台湾に学ぶ、健やかに暮らすための近道

必要なのは、我慢よりも“正直さ”?ー台湾に学ぶ、健やかに暮らすための近道(後編)

この記事は前編のつづきです。

台湾のサロンで働いた経験をもつセラピスト山辺まきさんのお話を通して、心も体も健やかに暮らすためのヒントを探っていく特集の後編。

よりよいセラピーを受けるために台湾の人が当たり前にしていることとは?前編に続き、日本とは異なるマッサージ事情をご紹介します。

型にはまらないサービス

約1年間の台湾での暮らしを通して、山辺さんが特に影響を受けたのは、働いていたサロン「テテセラピー」のサービスの在り方でした。

「日本は大きなお店になればなるほど、トレーニングがされていて接客もクオリティも安心感はあるのですが、型にはまっていて、セラピストの自由度が少ないような気がしたんです。

テテセラピーは、心と体の両方の健康に合わせて提供できるようなメニューが取り揃えてあって、それをセラピストがお客様の状態を見極めつつ、提案するというスタイルが面白かったし、影響を受けました。」

気づきをくれるマッサージ

山辺さんが営むサロン「ラ・プレザンス」では、丁寧なカウンセリングを通して、それぞれに合った施術をお客さまと一緒に考えていくプロセスを大事にしているとのこと。

「いかに対処療法にならないかは、常に課題で考えています。

痛いところがあるからマッサージをする、というのは求められているものを提供するという意味では大事なのですが、なぜ痛くなったのか、なにが負荷になっているのか、それによってアプローチを変えたり、根本に気づけるきっかけになるのが一番いいと思っています。」

サロンは「話していい場所」

そのため、お客さまがどんな人か、どんな暮らしをしているか、山辺さんはできるだけ耳を傾けようと心がけているのだそう。この考えに辿り着いたのは、やはり台湾の経験が結びついています。

「台湾の人は初対面でも驚くほど、悩みを包み隠すことなく打ち明けてくる人が多かったんです。こんなこと聞いていいのかってはじめはドギマギしたんですが、より良いセラピーを受けたいから、一番悩んでいることを手っ取り早く相手に伝えて『なにかできるならばお願い!』っていうスタンスなんだろうなと理解しました。」

台湾では、セラピーを受けるサロンは「話していい場所」という認識があるといいます。利用者にとっては、仕事や家族等、利害関係のない人間だからこそ話しやすいという利点があるのかもしれません。体をみてもらう場所でありつつも、頭と心を自ら開くと施術がよりよい時間になる可能性があると、台湾の人たちは熟知しているようです。

個人差のあるセンサーとは

心の癖は体にあらわれ、体の不調は心に影響することもあったりと、体と心の結びつきはある、と山辺さんは言います。

「ここにアプローチします、と事前に頭に話してから体に届けるほうが効果的な人もいますし、お客さまと一緒に、施術後に体と心がどう変化したかを振り返ることも効果があると感じています。体をよくしようというマインドセットができるといいかなと思います。」

体にいいことをした時、それに気がつけるかどうかは個人差があるとのこと。センサーが弱っていると、いくらいいものを受けたとしても気づくことができないといいます。

「しばらく不調を放置してしまった人は、体がすぐ反応できない傾向が強いんです。自分での気づきがはやくなると、治りもはやくなります。」

必要なのは“正直さ”

早い段階で不調を感じることができるセンサーをもっているかどうか。それは健やかな暮らしを手に入れるヒントなのかもしれません。そしてセンサーをもつために必要なのは「正直さ」だと山辺さんは言います。

「台湾の人はあまり我慢しないというイメージがあります。自分に正直というか、それがいいんだろうなって思います。」

日本では、我慢することは美徳とされがちですが、辛いときは無理せず休んだりマッサージを受けたり、自分に正直に動いていると、不調のはやい段階でだんだんと気づけるようになるそうです。

小さな無理を蓄積させずに、早めにリセットできるよう、山辺さんのサロンでは施術後も、自分でできることを必ず伝えているそう。それはヨガのポーズだったり、呼吸法やお風呂の入り方等、その人に合ったエッセンス。

年齢を重ねていくと、家族や仕事を優先せざるを得ない立場になることが多くなります。自分に正直になれる時間を少しでももてるよう、暮らしを振り返ってみたり、家族や大切な人の状態にも目を向けることがができるようになるといいですね。

「最近、正直に生きていないかもー!」なんてなる前に、「よし、今日はちょっくら正直になっちゃおう」とスキップできるようになったら、不調に気づくセンサーの精度も上がっていくのかもしれません。


※山辺さんは現在育児中のため、サロンの予約枠が限られているとのことです。ご予約希望の方は個別にご相談ください。

◎予約/問い合わせ
E-mail:[email protected]
Instagram:la_presence

この特集の目次

  1. 不調のはじまり、まずはどうする?ー台湾に学ぶ、健やかに暮らすための近道(前編)
  2. 必要なのは、我慢よりも“正直さ”?ー台湾に学ぶ、健やかに暮らすための近道(後編)

お知らせ

心がひとりぼっちになった時、そっと言葉で明かりを灯してくれる本、当店オリジナル、作家小谷ふみ著書「よりそうつきひ」が発売となりました(ご購入はこちらから)。 どこか切なくて、寂しくて、愛しくて、ホッとする。なんでもない一日を胸に焼き付けたくなるようなショートエッセイが束ねられた短編集です。読んでいると大切な人の顔が心に浮かんでくる世界が広がっています。

この記事を書いた人:

「よりそう。」館長。時として編集長に変身し、ライターとして駆け回り、ドローンも飛ばしちゃいながら、訪れるみなさんをお出迎えします。好きな本は、稲葉俊郎『いのちを呼びさますもの』。好きな料理は、さつまいも料理。
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