こんにちは、店長の大浦です。
西荻窪「ていねいに、」の料理家cayocoさんの旅とレシピを本にするプロジェクト「food letters」について、今日はこの企画の原点とも呼べるcayocoさんのポーランドの旅をご紹介したいと思います。
ポーランドの旅の始まりは、cayocoさんが西荻窪で知り合った、アート系作家さんのセレクトショップ「a small shop」の文音さんのお誘いから。
文音さんはお店のイベントで、ポーランドの写真家Zosiaさんに出会いすぐに意気投合。その後、ポーランドの作家さんの商品を取り扱っていたそうですが、メールでやり取りをするうちに、その二人に会いたくなったそう。そこでcayocoさんにも声をかけ、Zosiaさんの案内でその作家さんを訪れる旅に出ることを決めました。今から2年前の秋のことです。
ポーランドの普段の生活を体験する旅
旅の案内人Zosiaさんが暮らすのはグダンスクという街。そこでは、いわゆる“観光”をするのではなく、普段の暮らしを見せてもらったそうです。例えば、Zosiaさんのご両親が営む田舎の小さな小学校へ案内してもらい、急遽歌を教えることになったり、おじいちゃんのお見舞いのために病院へ行ったり、お気に入りの海を見せてもらったり。
「普段の生活を体験できたことが、日本との違いと共通点を感じられて充実した旅になりました。」とcayocoさんは振り返ります。
一番美味しかったのは、お母さんのつくるごはん
ポーランドで出会った食の風景は、cayocoさんの心を大きく揺り動かしたそうです。中でも一番美味しかったのは、Zosiaのお母さんが作るごはんだと言います。
ポーランドでは一日4食、食べる習慣があるのだそう。その度に、振る舞ってくれるZosiaさんのお母さんのごはんはどれも絶品だったとのこと。「お母さんが作ったカッテージチーズにラズベリーのジャムをパンにのせて食べたり、たかきびが入ったロールキャベツにスープ。夜ごはんにいただいた、ザワークラウトとソーセージをトマトで煮た旨味たっぷりの煮物が本当に今でも忘れられない味です。」
そこには、お客さまをもてなすお母さんの心がしっかりと見えてくるようで、味わったことのない料理のはずなのに、聞いているだけであたたかな気持ちになります。
この旅は、cayocoさんが料理を生業にしてからはじめての海外旅行だったため、知らない土地の食をしっかりと見つめながら味わう時間をたっぷりと過ごしたようです。
自然体なポーランド人の姿から学んだこと
ポーランドの旅を終えた後、cayocoさんの仕事や気持ちにどんな変化があったのかお聞きしたところ、こんな答えが返ってきました。
「旅で感じたのは、ポーランドの人たちの自然体な姿です。空港や駅や、大衆食堂の店員さんに、笑顔をみた記憶があまりありません。オーダーする時も、切符を買う時も、愛想笑顔すらなかったのですが、私には、それが自然体に見えてとても心地よく感じました。」
そしてcayocoさん自身も、もっと自然体でいいのかも、と肩の力が抜けたそうです。笑いたい時に笑い、笑いたくない時は無理に笑わなくていい、と。がんばり過ぎない、無理をし過ぎない姿というのは、周りと自分に寛容になることでもあり、一つの優しさの形にも見えます。
帰国後は、ポーランドの味を伝える場づくりを
帰国後すぐに、cayocoさんはポーランドで食べたものを日本の食材でアレンジしてお店で提供したり、お食事付きの旅のお話会を開催しました。旅で持ち帰ってきたものを伝える楽しさを感じたcayocoさんは、もっといろいろな土地、食材、人に出会いたいと想いがより一層膨らんだと言います。
「今思うと、『知ること・食べること・つなぐこと』の旅の始まりとも言える、素晴らしい旅でした。」
3月からスタートするfood lettersの旅でも、きっとcayocoさんは出会いの中から発見と吸収を繰り返して、そのバトンをまた誰かにつないでいくのだろうと思います。
そして私たちと共に、食の力を伝える小さな担い手になってくれる旅の仲間をクラウドファンディングで募集しています。優しいこころとくらしは、食べるを見つめることから始まるはず。みなさまの応援をお待ちしています!
写真提供:Zosia Bobrowska
この特集の目次
- 西荻窪で優しいごはんを作るcayocoさんの、春夏秋冬の旅とレシピを本にするプロジェクトが始まります!
- 料理家cayocoさんのポートランドの旅から見える、心も町も動かす食の力
- cayocoさんがポートランドで出会った、つくる人の「好き」が伝わってくるごはん。
- ポートランドの旅のおすそ分け。シンプルなのに美味しいホットパンプキンディップの作り方。
- 「food letters」のはじまりの物語。私たちが旅へ出て、本をつくる理由。
- 旅と本のイメージを膨らませる「food letters」のフライヤーができました!
- 旅先から届く絵葉書が、ポストに入っていた時の気持ちを。food lettersのInstagram。
- 旅を実況中継中!food letters第一弾、津屋崎の旅の様子をお届けします。
- food letters第一弾、人との出会いを味わう、津屋崎の旅が始まりました!
- 心が大きく踊る、彩り豊かな料理家cayocoさんのごはん
- 料理家cayocoさんの旅の原点、ポーランドの自然体な生き方から学んだこととは。
- 料理家cayocoさんのレシピ本を作る旅・food letters、春の旅の速報をお届けします!
- どんな本とお便りが届くの?クラウドファンディングで応援してくださる方に届けたいもの。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅 第1話「かわいい」と感じる目と心。そこにはいつだって愛がある。
- 人と同じように野菜に対しても、心を大切に置くこと。
- 旅先で心に沁み渡る、一日が穏やかに終わることの尊さ。
- 知らないって寂しい。知るって嬉しい。だから人は優しくなれる。
- 旅の偶然の出会いは、なんでもない風景を忘れることのない景色へと変える力がある。
- 料理はこんなにも人の心を伝えてくれる。
- 人が人を想う心は見えないけれど、本当はこの世界に溢れている。
- 夏は小豆島へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第二弾が始まります!
- 醤油、塩、オリーブオイルの生産地へ。料理家cayocoさんの小豆島の旅のルートをご紹介。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、小豆島の旅の速報をお届けします!
- 春夏秋冬の旅のお便りが届く、レシピ本「food letters」の特典付き先行予約が始まりました!
- 秋は長野県へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第三弾が始まります!
- 料理家cayocoさんが旅の出会いを届けるfood letters食堂で、旅の追体験を!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、長野の旅の速報をお届けします!
- 旅のはじまりは、国内初有機オリーブ栽培に成功した小豆島・山田オリーブ園へ
- 観光客の声で美味しくなる?ヤマロク醤油の常識の真逆をいく醤油づくり
- 「みてやらないかん」の心が映る、塩屋波花堂の驚くほど優しい味の塩
- 「自分が幸せにできる人は見渡せるくらいでいい」長野県佐久の星の坊主さま・こじょうゆうやさんに聞いた、ごきげんな畑の話
- 集まった人たちの心でとびっきり美味しいごはんが生まれる。阿智村の森田自然農園の「茗荷祭り」。
- ついに最後の旅。冬は島根県雲南市へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第四弾スタート!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、島根の旅の速報をお届けします!
- できるかできないかではなく、やるかやらないか。島根県雲南市の妹尾さん家族と過ごす、自給自足の暮らし体験。
- 生きる力ってなんだろう。旅で始まったデトックスが教えてくれる、心と体の声。
- 料理の心の置き場所を変えた、鶏を絞めるワークショップで学んだ、命のつながり。
- 食の根源を教えてもらった島根県雲南市の旅。人も、ごはんも、巡り続けるエネルギー。
- レシピ本「food letters」に関する大事なお知らせ
- 書籍「food letters」制作・出版元変更のお知らせ
お知らせ
心がひとりぼっちになった時、そっと言葉で明かりを灯してくれる本、当店オリジナル、作家小谷ふみ著書「よりそうつきひ」が発売となりました(ご購入はこちらから)。 どこか切なくて、寂しくて、愛しくて、ホッとする。なんでもない一日を胸に焼き付けたくなるようなショートエッセイが束ねられた短編集です。読んでいると大切な人の顔が心に浮かんでくる世界が広がっています。