<前回のお話は、こちら>
特集「cayocoさんのアメリカ/ポートランドの旅から見える、心も町も動かす食の力」では、西荻窪の「ていねいに、」で優しいごはんをつくっている料理家cayocoさんからお聞きした、食にまつわる旅の風景をお届けしています。今日は、食というフィールドで最近注目を集めている町、ポートランドの旅のお話を伺います。
地元の小さな店の活気と勢いが溢れる町
まずは空港に降り立った時から「何かが違う!」という予感があった話すcayocoさん。
「空港に並んでいるお店は、ポートランドの小さなお店ばかりで、マクドナルドが一番端っこに小さく存在しているほど。空港内は生演奏をしている人がいたりと活気が溢れ、働いている人たちの表情も穏やかで、ワクワクする気持ちになりました。」
ポートランドは、町中のコンクリートを剥がして畑にしたり、お店でつくったクラフトビールが飲めるレストランがあったり、お店が農園と直接トレードをしたり、あるいは自身の畑をもっていたりと、地元の小さなお店に活気と勢いが溢れている町だそうです。
働く人の「好き」「楽しい」が伝わるから
コーヒー好きのcayocoさんは、3日で7軒のカフェ巡りをしたとのこと。そのお店一つひとつに個性があり、違った美味しさがあったようで、私もcayocoさんのご自宅でお土産のコーヒーをいただきました。
パッケージはドクロマークが描かれていて一瞬「お!?」と思うものでも、飲んでみるととても奥深い味が。cayocoさんいわく「腕に大きな入れ墨を入れているような人が、とても楽しそうに丁寧にコーヒーを淹れてくれるんです」とのこと。
レストランでも同じように、つくる人、働く人の「好き」「楽しい」気持ちが伝わってきたそうです。
「素材を活かす絶妙な塩加減のお料理など、素材ありきのお料理をいただきました。食材をしっかりみている人がつくっているんだろうな、と感じるお料理。キッチンを覗いたら、すごく楽しそうでお店の雰囲気もとても良かったです。」
食の力は、人の心も町さえも動かす
ポートランドで一番印象に残っている、クラークルイスといお店は、素材を活かした優しい味付けのお料理が次から次へと出てきたそうです。食材を大事にする気持ちがあるからこそ、自然と寄り添える絶妙な塩加減であったり、野菜の味がきちんと感じられる優しい味付けであったり。それはまるで作り手の心が見えてくるようなごはん。
野菜をつくる人やごはんをつくる人の心というのは、それを受け取った人の心を動かし、その心がたくさん集まると、町全体までも揺り動かすような力をもっているのかもしれません。
人は何かを食べなくては生きていけない生き物です。そして食べたものが、私たちの心と身体をつくっています。食べることは、誰もが繰り返している当たり前の行為。だからこそ少し見つめ直すだけで、心も身体も、暮らしも、周りの人も町も、変えていける可能性を秘めているのだと、cayocoさんの目に映ったアメリカの風景を通じて感じました。
そんな食の力を信じて、cayocoさんと私たちはこれから旅へ出ます。春夏秋冬の旅を通じて出会う、土地、食材、人とのつながりを、保存食とレシピ本という形でお客さまへ届ける予定です。旅の詳細はぜひこちらからご覧ください。
旅を終えて心と身体に残ったものを、今回cayocoさんはレシピとして生み出してくれました。心がふわりと自由になるようなレシピを明日はご紹介するので、ぜひお楽しみください。<つづく>
この特集の目次
- 西荻窪で優しいごはんを作るcayocoさんの、春夏秋冬の旅とレシピを本にするプロジェクトが始まります!
- 料理家cayocoさんのポートランドの旅から見える、心も町も動かす食の力
- cayocoさんがポートランドで出会った、つくる人の「好き」が伝わってくるごはん。
- ポートランドの旅のおすそ分け。シンプルなのに美味しいホットパンプキンディップの作り方。
- 「food letters」のはじまりの物語。私たちが旅へ出て、本をつくる理由。
- 旅と本のイメージを膨らませる「food letters」のフライヤーができました!
- 旅先から届く絵葉書が、ポストに入っていた時の気持ちを。food lettersのInstagram。
- 旅を実況中継中!food letters第一弾、津屋崎の旅の様子をお届けします。
- food letters第一弾、人との出会いを味わう、津屋崎の旅が始まりました!
- 心が大きく踊る、彩り豊かな料理家cayocoさんのごはん
- 料理家cayocoさんの旅の原点、ポーランドの自然体な生き方から学んだこととは。
- 料理家cayocoさんのレシピ本を作る旅・food letters、春の旅の速報をお届けします!
- どんな本とお便りが届くの?クラウドファンディングで応援してくださる方に届けたいもの。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅 第1話「かわいい」と感じる目と心。そこにはいつだって愛がある。
- 人と同じように野菜に対しても、心を大切に置くこと。
- 旅先で心に沁み渡る、一日が穏やかに終わることの尊さ。
- 知らないって寂しい。知るって嬉しい。だから人は優しくなれる。
- 旅の偶然の出会いは、なんでもない風景を忘れることのない景色へと変える力がある。
- 料理はこんなにも人の心を伝えてくれる。
- 人が人を想う心は見えないけれど、本当はこの世界に溢れている。
- 夏は小豆島へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第二弾が始まります!
- 醤油、塩、オリーブオイルの生産地へ。料理家cayocoさんの小豆島の旅のルートをご紹介。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、小豆島の旅の速報をお届けします!
- 春夏秋冬の旅のお便りが届く、レシピ本「food letters」の特典付き先行予約が始まりました!
- 秋は長野県へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第三弾が始まります!
- 料理家cayocoさんが旅の出会いを届けるfood letters食堂で、旅の追体験を!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、長野の旅の速報をお届けします!
- 旅のはじまりは、国内初有機オリーブ栽培に成功した小豆島・山田オリーブ園へ
- 観光客の声で美味しくなる?ヤマロク醤油の常識の真逆をいく醤油づくり
- 「みてやらないかん」の心が映る、塩屋波花堂の驚くほど優しい味の塩
- 「自分が幸せにできる人は見渡せるくらいでいい」長野県佐久の星の坊主さま・こじょうゆうやさんに聞いた、ごきげんな畑の話
- 集まった人たちの心でとびっきり美味しいごはんが生まれる。阿智村の森田自然農園の「茗荷祭り」。
- ついに最後の旅。冬は島根県雲南市へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第四弾スタート!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、島根の旅の速報をお届けします!
- できるかできないかではなく、やるかやらないか。島根県雲南市の妹尾さん家族と過ごす、自給自足の暮らし体験。
- 生きる力ってなんだろう。旅で始まったデトックスが教えてくれる、心と体の声。
- 料理の心の置き場所を変えた、鶏を絞めるワークショップで学んだ、命のつながり。
- 食の根源を教えてもらった島根県雲南市の旅。人も、ごはんも、巡り続けるエネルギー。
- レシピ本「food letters」に関する大事なお知らせ
- 書籍「food letters」制作・出版元変更のお知らせ
お知らせ
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