スーパーに必ずあるオーガニックコーナー。素材を引き出すシンプルな味付けの料理。コンクリートを剥がして畑をつくる町。エネルギー溢れるみずみずしい野菜。働く人たちの活気に溢れるレストラン。
これらは全て、アメリカの旅で出会った風景。コカ・コーラとマクドナルドを生み出した国というイメージを覆すような、日本よりもしかすると一歩も二歩も先をいっている食の意識。
そんな話を教えてくださったのは、西荻窪の「ていねいに、」で優しいごはんをつくる料理家のcayocoさんです。特集「cayocoさんのアメリカ/ポートランドの旅から見える、心も町も動かす食の力」では、昨年の秋に訪れたアメリカのセントルイスとポートランドで出会った、アメリカの食事情についてお話を伺いました。cayocoさんの旅を通じて見えてきた、アメリカの知られざる一面をご紹介しながら、旅を振り返ったcayocoさんが生み出したレシピを最後にお届けします。
まず感じたのは、野菜の溢れんばかりのエネルギー
2016年10月、cayocoさんはパートナーの浅田さんと共に、アメリカのセントルイスとポートランドを訪ねに約2週間の旅へ出発しました。目的の一つは、浅田さんの妹さんが双子の女の子を出産したので、そのお手伝いのため。もう一つは、食に対する意識が高い人たちが集まっていると最近話題になっているポートランドを訪れるため。ポートランドは、cayocoさんがお店を構える西荻窪という町にも雰囲気が似ているのだとか。
はじめに訪れたのは、浅田さんの妹さん家族が暮らすミズーリ州のセントルイス。産後のお母さんのケアもしながら、家族全員のごはん作りのお手伝い。食材を求めに出かけたスーパーでまず驚いたのは、エネルギーの違いだそうです。
「オーガニックの野菜でなくても、元気でみずみずしくて。見た感じで美味しそうなオーラが出ているんです。」
人参や茄子など食材の大きさも違えば、野菜が放つエネルギーも違うとのこと。そして鮮度が高く、スーパーの陳列方法も美しいのだそう。
「わー!おいしい!」と思わず叫ぶ味
実際に調理をしてみると、包丁で切ると水分が出てくるほどみずみずしく新鮮な野菜たち。日本の野菜は繊細で舌触りで奥深さを感じられるそうですが、アメリカの野菜は大味だけどエネルギッシュ。食べた時に思わず「わー!おいしい!」と叫びたくなるほど。
「野菜をつくっている人のエネルギーも感じますし、売っている人たちの楽しそうな雰囲気も伝わってきました。」
スーパーで楽しそうに談笑する店員さんとお客さんの様子や、町中で出会う陽気に声を掛け合うアメリカ人のフランクな雰囲気が、cayocoさんの目の中には優しく映ったようです。
「野菜を選ぶならオーガニックを」
町を歩きながら感じたのは、それに加えてオーガニックに対する意識の高さ。
「安いスーパーでも必ずオーガニックコーナーがあるんです。大きなスーパーには、グルテンフリーの食材が並ぶコーナーがあったり、普通の日本のスーパーより充実していました。」
日本ではオーガニックの野菜たちは、スーパーの隅っこの方にあるだけで、オーガニック専門店への敷居もまだ高いように感じます。どんなスーパーでもオーガニックコーナーがあるということは、それだけ需要があるから。「野菜を選ぶならオーガニックのものを。」そんな意識がアメリカでは広がっていることがわかります。
食べることを大切にした人たちが集まると、こんなにも町が生き生きする。明日は、そんなことを教えてくれるポートランドの旅で出会った風景をご紹介します。ぜひご覧くださいね。
<つづく>
この特集の目次
- 西荻窪で優しいごはんを作るcayocoさんの、春夏秋冬の旅とレシピを本にするプロジェクトが始まります!
- 料理家cayocoさんのポートランドの旅から見える、心も町も動かす食の力
- cayocoさんがポートランドで出会った、つくる人の「好き」が伝わってくるごはん。
- ポートランドの旅のおすそ分け。シンプルなのに美味しいホットパンプキンディップの作り方。
- 「food letters」のはじまりの物語。私たちが旅へ出て、本をつくる理由。
- 旅と本のイメージを膨らませる「food letters」のフライヤーができました!
- 旅先から届く絵葉書が、ポストに入っていた時の気持ちを。food lettersのInstagram。
- 旅を実況中継中!food letters第一弾、津屋崎の旅の様子をお届けします。
- food letters第一弾、人との出会いを味わう、津屋崎の旅が始まりました!
- 心が大きく踊る、彩り豊かな料理家cayocoさんのごはん
- 料理家cayocoさんの旅の原点、ポーランドの自然体な生き方から学んだこととは。
- 料理家cayocoさんのレシピ本を作る旅・food letters、春の旅の速報をお届けします!
- どんな本とお便りが届くの?クラウドファンディングで応援してくださる方に届けたいもの。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅 第1話「かわいい」と感じる目と心。そこにはいつだって愛がある。
- 人と同じように野菜に対しても、心を大切に置くこと。
- 旅先で心に沁み渡る、一日が穏やかに終わることの尊さ。
- 知らないって寂しい。知るって嬉しい。だから人は優しくなれる。
- 旅の偶然の出会いは、なんでもない風景を忘れることのない景色へと変える力がある。
- 料理はこんなにも人の心を伝えてくれる。
- 人が人を想う心は見えないけれど、本当はこの世界に溢れている。
- 夏は小豆島へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第二弾が始まります!
- 醤油、塩、オリーブオイルの生産地へ。料理家cayocoさんの小豆島の旅のルートをご紹介。
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、小豆島の旅の速報をお届けします!
- 春夏秋冬の旅のお便りが届く、レシピ本「food letters」の特典付き先行予約が始まりました!
- 秋は長野県へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第三弾が始まります!
- 料理家cayocoさんが旅の出会いを届けるfood letters食堂で、旅の追体験を!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、長野の旅の速報をお届けします!
- 旅のはじまりは、国内初有機オリーブ栽培に成功した小豆島・山田オリーブ園へ
- 観光客の声で美味しくなる?ヤマロク醤油の常識の真逆をいく醤油づくり
- 「みてやらないかん」の心が映る、塩屋波花堂の驚くほど優しい味の塩
- 「自分が幸せにできる人は見渡せるくらいでいい」長野県佐久の星の坊主さま・こじょうゆうやさんに聞いた、ごきげんな畑の話
- 集まった人たちの心でとびっきり美味しいごはんが生まれる。阿智村の森田自然農園の「茗荷祭り」。
- ついに最後の旅。冬は島根県雲南市へ!料理家cayocoさんの、食と人をつなぐ旅「food letters」第四弾スタート!
- 料理家cayocoさんの食と人をつなぐ旅・food letters、島根の旅の速報をお届けします!
- できるかできないかではなく、やるかやらないか。島根県雲南市の妹尾さん家族と過ごす、自給自足の暮らし体験。
- 生きる力ってなんだろう。旅で始まったデトックスが教えてくれる、心と体の声。
- 料理の心の置き場所を変えた、鶏を絞めるワークショップで学んだ、命のつながり。
- 食の根源を教えてもらった島根県雲南市の旅。人も、ごはんも、巡り続けるエネルギー。
- レシピ本「food letters」に関する大事なお知らせ
- 書籍「food letters」制作・出版元変更のお知らせ
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