深海魚
「なんで、うまくできないんだろう」を重ねている。
「ああ、こうすればよかったのか」も重ねている。
それはまるで、
深く「はぁ……」っと、ため息ついて、
その分「すぅーー」っと、新しい息を吸いこむよう。
そんな風に、
深く呼吸しながら、大きくなってゆく。
でもたまに、
ふと、息を止めたくなって、水に潜る。
でも、また息がしたくなって、浮き上がる。
こんなことを繰り返しているうち、進化して魚になる。
そのうち、
エラ呼吸とか、浮き袋ができちゃって、
氷が張った湖も、
荒波の海も関係ない、
深いところを気持ちよく、
泳げるようにならんかな。
誰かが放つ光でなくて、
自分で灯す あかりをたよりに。
お知らせ
心がひとりぼっちになった時、そっと言葉で明かりを灯してくれる本、当店オリジナル、作家小谷ふみ著書「よりそうつきひ」が発売となりました(ご購入はこちらから)。 どこか切なくて、寂しくて、愛しくて、ホッとする。なんでもない一日を胸に焼き付けたくなるようなショートエッセイが束ねられた短編集です。読んでいると大切な人の顔が心に浮かんでくる世界が広がっています。