こんにちは。スタッフ天野です。
みなさん、最近は展覧会に行かれましたか?
夏から秋にかけては大型の企画展が目白押しの季節。駅に行く度に、たくさんの素敵な展覧会のポスターが目に止まりますね。あれも行ってみたいなぁ、これも観たい、と妄想ばかり膨くらます季節が、またやってきました。
一方現実の私は、二人の幼い子供のお世話と、この夏には引っ越しも経験し、本当にてんてこ舞い。本物の美術からはしばし遠ざかっています。
けれど、そんな慌ただしい時にこそ、アートに触れ、心のバランスを取り戻すことが大切かもしれません。そこで、この春に観たイタリアの画家、ジョルジョ・モランディの作品を模写してみることにしました。
絵画作品をより深く味わう方法。模写とは?
アート作品を深く味わう方法は、いろいろありますよね。
作品の解説を読んだり、オーディオガイドや、学芸員のギャラリートークを聞く。ポストカードを購入して飾ったり、手元でじっくり眺めたり。模写もそのひとつ。
模写って、漢字で書くと写経みたいで、古くて堅苦しい感じがしませんか。
「モシャ」っていう音の響きも、なんだかアートに似合わなくて、ちょっと変・・・モシャ。
イメージ湧きにくいかもしれないですが、海外の美術館などで、子供や学生が、床に座ってスケッチブックを持って一生懸命何か描いている姿。アレも模写です。
心に響いた作品をよく観察して、なるべくそっくりに写し描いてみるんです。
模写が好きなのは、大好きな絵の世界に、深く深く潜り込む感覚があるから。
私の子供の頃の夢は絵かきさんでした。今でも年に一度くらい、描きたい衝動に駆られます。
しかし、仕事や家事などの合間に、なかなか作品を生み出す為のエネルギーと時間を確保することは難しいのが現実。
その点、模写はすでにある、素敵だなと感じる作品を写すので、もう少し、気楽に楽しむことができるんです。作品のゴールが見えているというのは、ゼロから制作するのと心理的に大きな違いですよね。
作品を隅々までじっくり観察し、一筆一筆再現する作業。そこには、好きな絵の世界に、深く深く潜り込んでいくような感覚があります。展覧会で作品を前にするのとはまたちがった、画家の息吹のような、多くの気付きを得ることができるんですよ。それに、好きな作品が自分の手によって少しずつ出来上がってくるのは、とってもワクワクします!
後編は、実際にモランディの作品を模写した時のお話です。是非お付合い下さい!
ジョルジョ・モランディ(1890-1964)は20世紀を代表するイタリア、ボローニャの画家。数多くの静物画と風景画を残し、生前よりヨーロッパのみならず、世界中で愛されました。アメリカ、ホワイトハウスの一室にも飾られているそうです。
参考文献:
ロレンツァ・セッレーリ、ジュージ・ヴェッキ監修、 「ジョルジョ・モランディ—終わりなき変奏」展覧会カタログ、2015年、東京新聞
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